ウォンバットの黄金バット

いろんなバットちゃんです。

#ゲイと東京から遠く離れて 2019年秋(1日目朝)

羽田空港までの道中、バスは渋滞に止まることなく進んだようで、予定の到着時刻よりもだいぶ早く着いてしまった。

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雨粒でぼやける窓の外を眺めていたら、うつらうつらとちょうど眠くなっていたところだった。

毎日聴いている早朝のラジオをイヤホンで流していたのだけれど、聴いた内容が果たして事実なのか夢の中でのことなのか定かでなくなってくる。

まどろむ、という表現が合っているのかもしれないが、実際は全身の血液がよどんでくるような重さが感じられて、ふらつきながらバスを降りて空港の出入口に向かう。

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羽田空港の発着ロビーは、早朝にもかかわらず人でいっぱいだった。

外国人の家族連れや出張に向かうサラリーマン、修学旅行生の集団もいて、かなりにぎやかで早朝だというのにみな明るい顔をしている。

それにつられて、自分のテンションも自然と上がってくる。

しかし、到着後は車を運転することだし、少しでも寝ておこうと、搭乗手続きと荷物検査を済ませて、早々に大分行きの飛行機の搭乗ゲートに向かう。

搭乗ゲートは保安検査場から近いところにあって、一旦バスに乗ってから飛行機に向かう専用のゲートだった。

行先を見ると九州や四国の空港が並んでいるが、搭乗人数が少ないとこのゲートに回されたりするのだろうか。

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搭乗ゲート前のロビーは、出発ロビーの喧騒とは裏腹に人影は少なく、ガランとしていて少し寒気を感じるほどだ。

隣の便の出発時間が近づくと、ワッと人が集まったが、あっという間に静かになる。

やっぱり早く着き過ぎたなぁと後悔しつつ、搭乗時間まで眼を閉じて到着後の旅程を考える。

天気予報では大分は晴れているようだったが、具体的な予定は、到着してから考えることにしていた。

天気が良ければ露天風呂のある温泉に向かい、悪ければ食事をメインにしようかなぁなどと、あれやこれやとシュミレーションをしてみる。

道路が渋滞するのかどうかもわからないし、目的地に駐車場がなければ、うろうろと探すことになって時間をロスする羽目にもなる。

土地勘もない所に行けば当たり前のことなのだが 、できれば誰かに準備しておいてほしいなぁ、と考えれば考えるほど面倒くさくもなってくる。

愚痴を言う相手もいないからストレスはたまる一方だが、自分のせいなのだから仕方がない。

誰のせいでもなく、すべては自分で自分をそう仕向けたことなのだ。

いろんなことから逃避してばかりだが、旅に出ること自体がそういうことなのかもしれない。

(ゲートの番号は縁起が良かった)

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旅程を考えていたはずなのに、いつの間にか自分の振る舞いを反省していて、気づけば搭乗時刻になっていた。

ロビーの席も人でいっぱいになっている。

地上係員の女性が明るい声で、搭乗する順番の案内を始めた。
てっきりガラガラでのフライトになるかと思ったが、それなりに搭乗者の数はいたようだ。

搭乗の改札を通過してバスに乗り込み、空港のどこかに停まっている飛行機に向かう。

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滑走路を走って行く途中、バスの車窓からは、いろんな飛行機や車両、貨物や倉庫など、普段は見慣れない空港の様子が眺められた。

飛行機に直で乗り込むゲートより、バスに乗って行く方が楽しいなぁと改めて思う。

乗り込む飛行機は空港の端っこの方に停まっていた。

駐停車したバスから降りると、だだっ広い滑走路には強い風が吹きすさんでいて、寝癖のついた髪も吹き飛んで形がさらに崩れた。

(機体を間近に見られるのも良い)

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(滑走路を歩けるのも良い)
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(トンネル屋根の階段に近未来感があるんさ)

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(バスが去って行くところ)
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滑走路の向こうには東京の風景が白く靄っていて、夜が明けてようやく東京の空の様子を窺い知ることができた。

雨は弱い霧雨になっていたが、完璧な曇天の上に風が強く、あまり御機嫌は良くないようだった。

これは揺れるかもしれんぞ、と心配しつつ、タラップを上がって飛行機に乗り込む。

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機内に入って指定の席に座ると、後続のバスが到着する度に乗り込んでくる乗客の様子を眺めて時間を潰す。

服装から見て、半分が仕事で半分が旅行のお客さんたちのようだ。

出発時間が近づくと、離陸の時間が遅れるとアナウンスされた。

天候がよくないせいか、前の便がつかえて順番待ちをしているらしい。

スマホ機内モードに変更した後で、完全に手持無沙汰になったので買っておいた雑誌のるるぶを開く。

けれど、雑誌の紙質が膝の上でペタペタっと開くので、読みづらくてすぐに閉じた。

仕方なく窓の外を眺めるが、飛行機の窓にも大粒の水滴がついていて、外の様子がにじんで見える。

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ようやく離陸の順番が来ると、いつも聴いてはいるけれど何を意味するのかわからないサイン音と共に、飛行機が離陸に向けて速度を上げて走り出す。

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離陸した直後はさすがに揺れたが、あっという間に雲の上まで浮上すると、機体の揺れは一瞬で安定した。

水滴だらけだった機体の窓もクリアになって、午前の光に照らされて雲海が白く輝いていた。

景色のまぶしさで眠気も吹き飛んでいく。

ようやく旅が始まった感じがして、また改めてテンションが上がってくる。

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#ゲイと東京から遠く離れて 1日目早朝