ウォンバットの黄金バット

いろんなバットちゃんです。

#ごちそうさMASALA

件のインド料理屋の看板を掲げたパキスタン料理屋さんのツイートを見ていたら、また美味そうな料理の画像がアップされていた。

スペシャルメニューはグランドメニューには無いので、ある時に食べに行かねばならない。

ぶっちゃけ、この週末は都心に出向く用は無かったし、昼過ぎまでやっていた土いじりの作業でクッタクタだったのだが、この機会を逃してはなるまいと、昼寝をしてから行くことにした。

完全にお店の人に手玉に取られているが、これは絶対に美味いに違いないと確信が生まれてしまったのだから仕方がない。

 

お店に着くと、店長さんがニカッと笑って迎えてくれた。

「こいつ、ツイッターを見て来やがったな」とバレバレな様子である。

席に着いてスペシャルメニューが書かれた黒板を見ると、どれがあの美味そうな料理なのかがわからない。

そう、画像と一緒にメニューの名前を書いてくれたら良いのだが、見ればわかるでしょ?的な感じで書いてはないのだ。

確かに、このお店の常連さんはカレーに詳しい方たちばかりで、食事中にする会話も🇮🇳やら🇵🇰周辺の話をされていることが多い。

それに比べたら、自分は単なるカレーが好きな独身中年男性ってだけなので、若干ながらこのお店では肩身が狭い思いをする。

しかしそんな少しだけ惨めな思いをしてでも食べたくなるのが、ここの料理であって、好奇心が喚起されまくりなのである。

話を戻してメニューの名前だが、消去法でmandiであることが伺えた。

ほかの料理にはカレーにつけられる名前や、よく見知った肉料理の名前が並んでいたからだ。

今回の目当ては他で見たことのないメニューなので、知らない名前に違いないと思ったのだ。

いやいや、ツイッターの画像を見せれば良いのでは?とお思いだろうが、そこは変な意地があってやりたくなかった。

自分が見栄っ張りが過ぎて損をするタイプなのは認めるが、なんか品が無いように感じるのだ。

 

店長にmandiを注文すると、少し時間がかかります、とのこと。

おおお、やはりか!と期待が高まる。

注文した品は、鶏の半身をスパイスのタレに漬け込みローストしたものを、炊き込みご飯の上に載せた料理。

味はまったく想像できないが、そのビジュアルにとにかく惹かれてしまう。

期待が高まったのは、時間がかかるということは生の肉をローストするのが推測されたから。

ロースト済みの肉を温めれば、すぐに出せるところを生からとなると時間がかかるのも致し方ない。

しかも、たぶんオーブンではなくタンドールでローストするのであろうから、どうしても期待が高まってしまうのだ。

しばらくすると、料理がやってきた。

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頼みたかったものが、テーブルまで運ばれて来た!(よかった)

ローストしたての鶏肉からは、湯気と一緒に柔らかいスパイスの香りが立ってくる。

バスマティライスの炊き込みご飯は、一度油で炒めて炊いたものなのか、具は入っていないが香ばしい米の美味しい香りが漂ってくる。

ライタというヨーグルトのサラダもついてきた。

mandiとはビリヤニの別バージョンの料理なのだろうか。

よくわからないが温かいうちに食べなければ。

半身の鶏肉はもちろん骨つきなので、食べづらいかもという懸念があったが、ナイフとフォークを身に入れた途端、サクッとふわっと入っていく。

皮目はパリッとしていて、身はふわっと焼けているのが、感触でナイフとフォークから伝わってきた。

それだけでも割りと感動したのだが、ひと口頬張ると、そのあまりの美味さに息を飲んだ。

味付けはこの店のタンドールチキンと同じだと思うのだが、半身の鶏をそのままタレに漬け込んでいるのと、タンドールで焼き上げたから余計な脂分は落ち、皮目はパリッとしつつ、肉汁は身に留まってシットリと仕上がっており、とにかく柔らかくジューシーで美味い。

炊き込みご飯と一緒に食べると、ご飯に含まれた旨味がプラスされて、またさらに美味くなる。

ライタも混ぜると酸味とまろやかさが加わって、別の美味しさにもなる。

こんな料理があったとは。

インターネットで調べれば、知ることだけなら苦にもならないことなのだが、本物は食べようとするとなると難儀なことばかりだ。

遭遇できたことにマジで感謝である。

しかし、mandiって料理は何なんだろうか、よくわからないまま食べてしまっているが、とにかく美味いので、調べる間を惜しんで食べるのに集中した。

食べ切ったら若干の放心状態になってしまった。

美味しくないところが無いことに、圧倒されてしまったのかもしれない。

 

後でインターネットで検索した限りでは、元々mandiはアラブ料理で🇮🇳🇵🇰まで伝わった料理らしい。

肉は鶏肉や羊肉を用いるのが常で、タレはいろいろとある様子だが、タンドールで焼き上げるのはマストらしい。

米は炊いた米に味付けしたタレ(オイル?)を混ぜて、タンドールでスモークさせるらしい。

きょう食べた米を見て、炊き込んだ割に乾いているように見えたのは、スモークしたせいなのか!と合点がいった。

乾いた米粒などは硬いように見えてしまうのだが、米粒は油でコーティングされているのでパラパラとしているし柔らかい。

結婚式やお祝いの席などで出される料理らしい。

道理で豪華な見ためと美味しさがあるわけだ。

 

食後の余韻を消したくないな、と思ってデザートも頼むことにした。

今回はfaloodaというものにした。

店長から今日からのメニューと教えてもらったのだ。

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赤いのはローズシロップで、インドのアイスであるクルフィとバジルシード、セヴィヤンというコーンスターチでできた麺とドライフルーツとナッツが入っている。

パフェとシェイクの間の子、って感じの代物だ。

中東から東南アジアの方まで、広く楽しまれているデザートで、お店によって具や量も異なるのだそうな。

極度に甘すぎることもなく、この世にある食感が全て含まれているようで食べていて楽しい。

クルフィは溶けてトロンとしたところと、凍ってシャーベット状になった部分が美味しい。

バジルシードはヌルヌルつぶつぶしているが、齧るとバジルに似た爽やかな香りが口いっぱいに広がる。

セヴィヤンは歯ごたえのないトコロ天のような感じ。

ローズシロップの香りもふんわりする程度で、バクバクとあっという間に完食してしまった。

このメニューはこのお店の夏の風物詩的メニューらしく、他のお客さんも次々にこのデザートを頼んでいる。

冷やし中華的な扱いなのかもしれない。

会計の時に、あのデザートはいつまで出るのか聞くと、寒くなるまでは出すのだそうだ。

カレー好きの友人らにも食べて欲しいと思う代物だったので、連れて来る時間は十分に残されていることを知って少しばかし安堵した。

 

帰りの電車では、mandiの美味しさを頭の中で、反芻しながらぼんやりと考えてしまった。

思い出すだけでも涎が出てくる。

いろいろと肉料理は食べて来たが、俺史上 No. 1の座をmandiが更新したように思う。

タンドールで焼き上げた肉の美味さったら、他にあるのだろうか。

いやいや、他にもあるに違いないだろうから、ぜひとも早めにお会いしたいものだと思う。

 

 

#ごちそうさMASALA