#ボタニカルホモ日誌 20181216
昨晩、花梨のジャムというかシロップを作った。
以前は毎年のように作っていたのだが、昨年は暇がなくて作らなかったので2年ぶり。
細かい手順を忘れてしまったので、インターネットで作り方を検索すると、掲載されているレシピが以前よりも増えていた。
しかし、調べたところでそれぞれ作り方が少しずつ異なるので、覚えてる限りの手順で勘を頼りにつくることにした。
最近は花梨が何なのかも知らない人が増えてきたので補足すると、バラ科の木になる果実である。
果実といっても、花梨の実は硬いし渋いし酸っぱいので生食は向いていない。
けれども、香りや風味はすこぶる良いのでリキュール酒で漬けたり、蜂蜜漬けに使われるのが一般的だ。
実肉には果糖、ビタミンC、リンゴ酸、クエン酸、タンニン、アミグダリンなどを含んでいるそうだ。
花梨の成分は気管支の保護に良く、昔、風邪や喉が荒れると母は必ず台所下の奥から花梨酒の保存瓶を取り出しては、お湯で割って出してくれた。
蜂蜜漬けもお湯や水で割って、おやつの代わりによく飲んできた。
しかし、漬けるとなると飲めるようになるまでは、蜂蜜漬けで1カ月ほどは日数がかかるし、リキュール酒漬けだと最低3ヶ月ほど待つ必要がある。
そして一人暮らしでは消費しきれない量ができてしまう。
事実、3年前に漬けた花梨のブランデー漬けが、まだ未開封のまま1瓶まるまる残っていたりするため、これ以上はストックは増やしたくない。
しかし、ジャムならば作ったら即日から食用にすることができるし、花梨茶としてお湯に溶かして飲むと、花梨の香りや渋みや酸味が砂糖の甘さと相まって本当に美味しい。
リキュールや蜂蜜の味も出さないので、花梨そのものの香りや味を楽しめるのも利点だ。
花梨の実はスーパーでも売られている。
青い実であれば室温で保存し、黄色くなるまで追熟させる。
置いておくうちに、実から花の蜜や柑橘の混じった何とも言えない良い香りを放ち始める。
実の表面は脂が吹き出し、触るとヌルッと滑るほど。
一度触るとしばらく香りは手から消えない。
天然の塗り香水のような感じ。
そのまま部屋に置いておきたい気持ちが抑えきれず、熟させすぎてしまうことも間々ある。
実はぬるま湯で洗う。
表皮の滑りが水分を得て更にヌメヌメとする。
聞くところによると、この滑りを利用した化粧品も作られているらしい。
手はスベスベになるし良い香りもあるので、都合は良さそうだ。
表面のゴミを洗ったら4等分に切って、種をスプーンでこそぎ落とし皮を剥く。
これは捨てずに取っておく。
花梨の皮と種には身体にいい成分が多く含まれている。
実は4等分したもの更に4等分に切って、細かい扇型切りにする。
包丁を握る手が痛くなるほどの実の硬さなので結構疲れる。
取り分けた皮と種を鍋に入れ、水から煮出す。
沸騰してから10分〜15分くらい。
成分が水に溶け出し、とろみと薄い黄色の半透明な濁りがつく。
火を止めて、煮出した汁と皮と種を濾し器で選り分ける。
湯気に乗った花梨の香りが部屋に充満して、とてもよい心地だ。
越した煮出し汁を鍋に戻し、果実の重量の半量〜同僚の砂糖を溶かす。
砂糖が溶けきったら、切っておいた花梨の実をいれて煮込む。
焦げないように鍋底からかき混ぜつつ煮込む。
少し垢が出てきたらスプーンですくって取る。
1時間ぐらい煮込むと煮汁が山吹色に変化する。
更に煮込むと茜色になるのだが、風味も飛んでしまうので自分の好みの煮込み具合で鍋を火からあげる。
今回は砂糖を少なめに果実の重量の半分にしたが、少々渋みと酸味が強く出てしまった。
砂糖が少ない方が風味は長く残りやすいらしいが、味は同量の方が良いように思う。
いまから砂糖を足そうか迷うが、もう眠いので完成ってことにして瓶詰めをする。
煮沸消毒した瓶にジャムを入れ、さらに湯煎にかけて消毒と脱気処理をする。
湯煎から上げたら、逆さにして倒立させて瓶の密閉性を上げる。
蓋が上手く閉まってない場合は、中のジャムが漏れ出す。
粗熱が取れたら、流水で冷やす。
小瓶に9本の花梨ジャムができた。
2、3ヶ月は美味しく飲める。
いつか庭を持てるようになったら、花梨の木は必ず植えたいという思いが更に強まった。
#ボタニカルホモ日誌 20181216