ウォンバットの黄金バット

いろんなバットちゃんです。

#ボタニカルホモ日誌 20180603

東京で暮らすようになってから、ずっと通っていた中華料理屋さんがある。

いまは移転準備中で店を閉めているので、正しくは「あった」と言うべきか。

ご主人や常連さんと閉店時間を過ぎても、誰かが持ち寄ったお酒を飲んで、グダグダと話して過ごすことが常で、東京で暮らす上では心の拠り所になっていた。

毎週のように通っていたら、ご主人のご両親とも仲良くさせてもらうようになって、お父上が定年後に始めた畑に、毎年のように遊びに寄らせてもらっている。

以前は、収穫した野菜が食べきれないから、と呼ばれていたが、いまは畑も拡張されて、収穫のための労働力として呼ばれるようになった。

今回はニンニクの収穫の手伝いだ。

朝5時発の電車を乗り継ぎながら、3時間弱の時間をかけて畑のある駅まで向かう。

駅に着くと見慣れた常連さんの顔があった。

「お久しぶりです、来るとは知りませんでしたよ」

「いや〜、自分もですよ」

なんて挨拶をする。

お店が閉まってからはほとんど顔を合わせることはなくなったが、久々に会っても同じ感じで話ができるのは不思議な感じだ。

別の常連さんは奥さんとお子さんも連れてきていた。

あんなに小さかった子がちゃんと歩いて、ちゃんと話すようになっていて驚いた。

東大卒の夫婦なので子の方も出来が良いらしく、聞くところによると2歳半だというのに絵本も読むし、アルファベットもそらんじることができるらしい。

かけ算九九もできるんじゃないか、と問えば、まぁできるかもしれないが、別にわざわざ教える気はないとのこと。

どうやら知能指数は高くても、子どもらしい子どもの性格をしているらしく、とにかく言うことを聞かないヤンチャ坊主で、そっちをどうにかしたいらしい。

知らない人を前にしてるせいか、いまのところ大人しいけれど、そのうちに慣れたら本性を現すのかもしれないのか、と思ったら少し楽しみになった。

お店のご主人とそのお父上が駅まで迎えに来てくれていたので、車に乗り合わせて畑のある家まで向かう。

東京にも自宅があるのだが、お父上の退職後の生活のために買った家。

もう何回めの訪問かはわからないけれど、お邪魔するたびに自分の老後はどんな暮らしをするのか、ふと考えてしまう。

家に着くと、お母上がいつものハイテンションで出迎えてくれた。

70近い年齢なのだが、平野レミばりのテンションで、女子高生みたいな絵文字満載のLINEをくれる。

着いたら早々に手を焼いてくれて、畑作業の準備のために、やれ作業着はあるのか?タオルはあるのか?帽子なら貸すよ?お昼はどうしようか?夜は焼肉!BBQだからねー!と息つく間もなく大騒ぎ。

相変わらずお元気そうで何よりであった。

作業の準備をして裏の畑に向かう。

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ニンニク畑の様子。

ニンニクの匂いが微かに漂う。
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掘り上げ作業と、

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茎と根を切り離す作業をやる。

(下の写真はお母上が撮ってくれたもの。JKだから加工も派手)

三年目のニンニクを収穫し、一年目と二年目のニンニクは来年の種として選り分けていく。

自分は3回目なので慣れたもんだが、この日は天気が良くてとにかく暑い。

陽射しが肌を焼いてくる感覚がよくわかるが、長袖を着ていても暑いので、日焼け止めを塗りつつの作業をした。

みんなが作業に慣れた頃にお昼休憩に呼ばれる。

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鶏肉の辣醬煮込みにミントをのせたヤツと鶏肉と胡瓜の胡麻ダレ炒めと素麺。

食べたら少し昼寝。

横になってたら、例の高知能なガキンチョが覚醒し、遊び相手となってたら寝る暇もなかった。

アクロバティックに身体を振り回したり、宙に飛ばしたりしてたら、よほど気に入られたのか、「パパ〜」と呼ばれるようになった。

本物のパパは、「そういうところがかわいくないんですよね〜」と言っていた。

午後の作業に戻ると畑が騒ついていた。

何事かと思ったら、ニンニク畑の中にキジが卵を産んで巣を作っていたらしい。

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ニワトリの卵よりかは一回り小さめ。
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巣のあるところだけは、収穫せずにそのままにした。

なんかキジがウロウロしているな、と思っていたら、見張りに来ていたようだ。

てっきりみんなで食べるのかと思っていたが、産卵して何日経っているのかはわからないから、そのまま放置することにしたらしい。

たしかに、卵より肉の方が美味しいに違いない(と言っても狩りをするわけでもないのだが)。

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17時を回ったところで作業は終了。

畑2列分の収穫作業ができたとのことで、みんなで達成感を味わう。

午後の作業では高知能幼児がすっかり人に慣れて、ベタベタと寄ってきて暑かったが、甥っ子姪っ子がみんな大きくなってしまった自分には、なかなか懐かしい感じで楽しかった。

夕飯のBBQが始まる前には、バイト代に野菜を隣の畑からいただき行く。

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ブルーベリー。
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新茶。
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カブとミント。

他にも持って行きなよ!と言われたけれど、一人暮らしには限度があるのだ、と申し伝え、他の家族に譲る。

ニンニクもクール便で送ってもらうことにもなって、労働以上のものをいただいてしまった。

そもそも昼飯も夜のBBQもごちそうになっており、頭が上がらない。

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常陸牛をいただきました。

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葉物ごちゃ混ぜサラダ。

ニンニクも焼いて食べたのだが、写真を撮り忘れてましたは。

たぶん酔ってた。

満腹になったところでお開き。

電車の都合もあるので、慌てて支度して帰る。

次はアピオスが出来た頃に呼んでくださいー!と言ってお別れ。

今月末は都内で収穫したニンニクを売りに来られるから、またその時に会うのだけれど、楽しかった分だけ少し寂しさを感じる。

このお店に通うことが無かったら、いまごろどんな暮らしをしていたのだろうか。

ボタニカルホモにはなっていたと思うけれど、まったく想像がつかない。

常連さんと話をしながら電車で帰る途中、車窓から見える景色が真っ暗なところから、段々と住宅やマンションの明かりが増えてくる様子を眺める。

手前に焦点を合わせると、日に焼けた自分の顔が映っていた。

日焼け止めを塗ってたから痛みは無いのが救いだが、今年の夏も美白で過ごすわけにはいかなそうだ。

あまり輩風情などは、彼の人には好まれないので避けたかったのだが。

致し方ない。

 

#ボタニカルホモ日誌 20180603