ウォンバットの黄金バット

いろんなバットちゃんです。

#ゲイと東京から遠く離れて 2019年元旦の朝から夕方

元旦の朝も、平日と同じ時間に目覚ましのアラームが鳴って起きる。

時刻の設定を変えるのをすっかり忘れたまま寝てしまっていた。

まだ外は薄暗く、布団から出るには気合の要るほどの寒さ。

布団の中でぬくぬくとしていると、LINEの家族グループに母親から初日の出の画像が届いた。

自分の部屋は西南向きだったのでわからなかったが、もう朝日は登っているようだ。

脚で反動をつけて勢いよく起き上がると、閉めていたカーテンを開ける。

よく晴れていて奥多摩の山の向こうには、富士山の姿がよく見える。

朝焼けで山肌の積雪がライトオレンジ色に染まっていた。

反対側にある非常階段からならば、日の出の様子がよく見えるかもしれない。

寝間着のジャージの上からコートを羽織り、寝癖をつけたまま玄関を出てアパートの非常階段の方へと向かう。

他の居住者が先にいるかもしれない、との予感は外れてそこには誰もいなかった。

そして東の方向を見据えると、橙色の太陽の陽射しが、寝起きの自分の瞳の中に強く差し込んでくる。

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(場所バレを恐れて歪なトリミング画像になってしまった…)

堪り兼ねて瞼を閉じると、その日差しは瞼の裏の様子を透かして見せるほどの眩しさだ。

さすがに空気はかなり冷たいものの、日が当たっているところだけはあたたかい。

橙色と水色の空のグラデーションがとても美しかったし、自分の身体が感じている冷たい空気と温かい日差しのそれを表しているように見えた。

そんな美しい景色も、いつもは気にせず見ることは無い。

ただ、自分の見えていないところで毎日のように繰り返されている光景なのだと思うと、すこしだけ惜しい気がしてくる。

そんなことを考えつつ、五分ほど眺めていただろうか、さすがに手足の指がかじかんできたので、部屋に戻ることにする。

部屋に戻ると、昨晩につくったのし餅の様子を見る。

まだ柔らかさを残すものの、持ち運びに耐えられるほどには固まっていた。

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(両親、姉家族×2、自分用で各5合分ずつ計2升)

甥と姪への就職祝と成人祝とお年玉、両親と姉家族への東京土産と御年賀ののし餅を、簡易バッグに詰め込むと結構な重さになってしまった。

着替えの服は最小限にして荷造りを済ませ、シャワーを浴びて身支度をする。

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(以前、空港で買った御当地サブバッグ。旅以外でも大容量で軽くて丈夫なのでよく買っている。)

出勤時間よりは少し遅い時間に電車に乗ると、車内は空席が目立っていた。

それは最寄り駅に着くまで続いた。

さすがに元旦の朝から帰省したり、どこかへ出かける人は少ないようだ。

かの人に新年の挨拶をLINEで送る。

まだ寝ているだろうか。

午前11時前に最寄駅に着くと、両親が車で迎えにきてくれていた。

そのまま実家には寄らず、隣町にある姉の家まで向かう。

もうかれこれ十数年、新年の家族の集まりは姉の家で行なっている。

2人の姉こ家族と両親を合わせると12人にもなるため、実家では狭すぎて座るスペースさえ無くなってしまったからだ。

甥や姪が小さいうちは実家でも足りてはいたが、5人いる甥姪がみな小中学生になった頃から、居間の広い姉宅で過ごすことが恒例になっている。

姉宅に着くと姪が玄関で迎えてくれた。

居間に入って新年の挨拶を済ませる。

退院した姉はまだ身動きは重そうであるが、起きている時間は少しずつ増えているようだった。

義兄に御年賀を渡し、姪と甥にお年玉を兼ねた就職祝いと成人祝いを渡す。

2番目の姉家族も先に着いていたので、御年賀とお年玉を渡す。

すべての贈物を渡し終えると仕事をやり切った感じになってしまった。

あとは義兄と姪がつくった御節を囲みながら、しばしの団欒の中に埋もれるのみである。

しかし、今年はこの間まで姉の入院先でしょっ中顔を合わせていたので、特に目新しい話題もない。

どこか慰労会的な雰囲気で、例年以上に間延びした時間が過ぎていく。

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(姪っ子と義兄がこしらえた御節。メロンは姉へのお見舞いにいただいたもの。)

一個だけ胸にグサりと来たのは結婚の話だ。

しかしそれは、30代半ばを過ぎても独身でいる弟の話ではなく、教員として就職して一年が経とうとしている甥っ子の話。

どうやら、自分は結婚する気は無い、と話したんだそうで、姉は具合も悪いのにタラタラと文句を述べつつ嘆いていた。

学生の頃から付き合っている彼女もいるし、同性愛者でもないのに結婚しない理由は何なのだろうか。

もしかすると、退院したばかり母親のことを気づかった上での発言なのかもしれない。

けれど、姉の話ぶりからすると、独身貴族として好き勝手して過ごしているオジ(=俺)に影響されている、と言いたげな様子だった。

まぁ、自分が好き勝手やっているのも本当のことなので、自分はぐうの音も出ない。

事実、家族の団欒中も、かの人からLINEで新年の挨拶の返事が届いているかどうか気が気でなかったほどの大人げなさだ。

黙って話題が他に移るのを待つより他なかった(ちなみにLINEの返事は間もなく届いた。かなり素っ気ないものではあったけれど)。

ただ、もしかしたら今ごろは喪中で、御節を口にすることも、こうして集まることも無かったのかもしれない、と思うと、退屈な時間も尊く感じられてくる。

ひと通り、御節を食べ終えると、姉も疲れたのか横になると寝室に戻っていったので、母ももう一人の姉もそろそろ帰ろうかということになった。

義兄と後片づけを進めて、今年の新年の集まりは15時を待たずに早々にお開きになった。

いつもは夕飯まで一緒にいたことを思うと、時の変化を感じて少しだけ寂しくなる。

 

#ゲイと東京から遠く離れて 2019年元旦の朝から夕方