#ゲイと東京から遠く離れて 2020冬(大阪1日目昼)
なんば駅の駅ビルから外に出ると見覚えのある景色が広がっていた。
去年は伊丹空港からバスでなんば駅に来たのだが、その時と同じ街並みを目にして呆気に取られる。
なんば駅がどんなところか知らずに移動してきたことを自覚する。
土地勘の無い場所でも大した心配もせずに歩くことができるのは、スマホとインターネットの技術革新のおかげなのか、時代の移り変わりのせいなのか。
飛行機からは随分と厚そうに見えた雲は、空の高いところに薄く広がっているように見えた。
霧に隠れていたのかどうかはわからないが、空気は湿っている。
(大阪感のある街並み)
(↑まだ早い時間なのか人が疎らな道頓堀川↓)
なんば駅から心斎橋駅近くの銭湯まで、御堂筋通りを真っ直ぐに歩いて10分くらい。
直線の通りを行くのにやけに遠く感じるのは、歩き慣れていないせいだろうか。
古い建物は綺麗に保たれているし、新しいビルは曇り空だというのに辛さを感じさせない佇まいで建っている。
やはり市内のメイン通りに建ち並ぶだけあって綺麗なのだが、その一方で、電車の中で見た屋根にブルーシートを張ったままの古い住宅のことが頭に過ぎる。
目的地の銭湯は、御堂筋通りから裏路地に入ったところにあった。
ホームページを見る限りは昔ながらの銭湯で、寂れた建物を想像していたのだけれど、随分とお洒落なブランドショップが並ぶ街の中にあって驚いた。
一階がファミリーマートで、二階と三階が銭湯になっているらしい。
入口にはエスカレーターがある。
割りと新しいの銭湯なのかと思いきや、門構えは昭和平成の雰囲気を漂わせていた。
できればゆっくりしたいところだけれど、頭と身体を洗って、サッと湯に浸かったら上がることにした。
更衣室も明るく、浴室も外光がよく入って清潔感のある銭湯だった。
刺青の入った人も見かけたが、市街地の銭湯だけあるせいか、マナーの気になる客は目につかない。
風呂から上がると、更衣室にあるテレビでは、関西ローカルのワイドショーが流れていた。
先日逮捕された槇原敬之のニュースについて報じている。
いまでは東京の番組では見なくなったベテランの芸人さんや、まだよく知らない若手の芸人さんたちが、「ガッカリやわぁ」と似たようなコメントを口々に繰り返していた。
よく知る芸人さんでも、東京の番組では聴かないような語り口でコメントしているので、いつもとは違う土地にいるのだと実感する。
心斎橋駅に向かおうと御堂筋の交差点を渡ると、551の肉まんを頬張りながら歩く人を見かけた。
スマホで検索すると大丸の地下に店舗があるらしい。
昼も近くなってきたがちゃんとした朝飯を食べていないので、間食がてら寄って肉まんを食べることにした。
大丸の建物の内装は本店だけあって豪華だった。
東京でいえば日本橋の三越や高島屋のような、シックで豪華な内装で、その品の良さについつい見惚れてしまった。
地下の食品街はオープンしたてのせいか、客足は疎らで店員のおばさまたちの呼び込む声も控えめだった。
551の店舗は食品街の端奥にあって、イートインのスペースもあった。
ラーメンや焼きそばや点心が食べられるらしい。
イートインで食べようかと思ったけど、昼飯が食べられなくなるのも嫌なので、肉まんを2つだけ買って地下鉄の入口で食べる。
ひとりで食べていると目線に困るので、近くに立っていたナンキンハゼの幹を眺めながら肉まんを食べた。
名札を幹の中に取り込もうとしているかのような、不思議な形をしている。
地下鉄の入口を降りて行くと、大通りの下に地下街が広がっていた。
大阪の町は地上だけではないらしい。
千里中央駅にはホームの上に回廊のように地下街があって、ローカルなお店にお客さんがたくさん入っていた。
地下鉄の駅から、地上にあるモノレールの駅に向かう。
外に出ると青森の地域振興課が米の宣伝イベントを開いていた。
東北から全国の街を宣伝して回っているのだろうか。
新米の季節でもないし、天気も良くないので人は足早に過ぎて行くばかりで、なかなか苦戦している様子だった(がんばろう東北)。
モノレールで万博記念公園駅に向かう。
運転席が右側にあるのはワンマンだからだろうか。
万博記念公園駅に着くとたくさんの人が降りてきた。
どうやらガンバ大阪の試合があるらしい。
万博記念公園まで来ると、人並みは減ってしまうと寂しい感じに。
およそ一年ぶりに太陽の塔と対面する。
いまは塔の中の展示も見られるようで、興味の引かれるところではあるが、きょうの用事は別にあるので記念に写真を撮って目的地へと歩く。
天気はあまり良くないものの、暖かくはあるので散歩に来ている家族連れが多い。
そのほとんどが園内で開催している梅まつりの方へ歩いて行く。
ちょうど満開の時期のようで、梅の微かな香りが漂ってきた。
帰りに時間があったら寄ってみようか。
いや、帰る頃には暗くなってるかなぁ、と考えているうちに、きょうの目的地に着いた。
国立民族学博物館である。
去年に来た時は回りきれなかった展示を見るために来たのだが、もうひとつ市民向けの開かれる講演を聴きに来たのだった。
講演は13時半からなので、それまで館内にあるレストランで昼食を摂ることにした。
民族学博物館だけあって、ランチにエスニック料理を提供していると聴いてから、ずっと一度は食べてみたかったのだ。
レストランは昼時なのにお客さんは少なめ。
特別展が開催されていない時期だったら、もう少し混み合うのだろうか。
(隣の席では男子学生が2人で食事をしていた。一方の学生が大好きなのか友達の写真を撮りまくっていた。)
頼んだのはマッサマンカレーのセット。
あっさりとした仕上げで美味しかった。
食べ終わったら、講演の会場時間までミュージアムショップを見て時間を潰す。
北海道に新しくアイヌの展示を中心にした、国立の民族学博物館ができるというポスター。
ウポポイというインパクトのある名前。
オリンピックの開会式では、アイヌ民族の踊りが採用されないというニュースが思い出されたが、国立民族学博物館は作られるのと何か関係があるのだろうか。
ミュージアムショップは見応えがたっぷり。
とくに書籍コーナーは普段は目にしない分野の本がたくさん並んでいて、あっという間に時間が過ぎて行った。
犬ぞりの陣形図を柄にした水筒。
好んで買う人がいるのだろうか(きっといるのだろう)。
#ゲイと東京から遠く離れて 2020冬(大阪1日目昼)